横山勝也先生の祖父、蘭畝先生の父である、
横山篁邨作と思われる尺八です。
透明(！)な鼈甲素材である、
白甲と呼ばれる部分(希少な最高級素材)で
歌口が作られている
とてもめずらしい楽器です！
他で見たことがありません！
とても古いの楽器です！
【未完の仕上げ】　
透明な歌口の内側に
最後の仕上げとして朱漆を塗った所で、
表からの朱の透けが気に入らなかったのか、
後から歌口裏の漆を剥がした跡があります。
イメージ通りにならなかった為
未完の状態で保管され、現代まで残ってきた、
製管師さんの息遣いが伝わってくるような
貴重な未完の名楽器です！
全体の朱漆もキメが荒く見えるため、
仕上げ塗りや磨きを行う前の段階だったので
焼印が押されていないのだと思います。
【無銘ながら】
この楽器は、別の在銘の篁邨管と、
２本セットで譲っていただいたもののため、
無銘ながら、篁邨作のものと思われます。
参考比較用に並べた写真も掲載していますが、
全体の姿、指穴、顎あたりの丸め方、歌口の作りなど、しっかり一致しています。
吹いた感じでも、
乙のロの感じなど、もう一管の篁邨二印管と
完全に同じ音色、吹奏感です。
一尺八寸管(D管)。
　焼印を押す仕上げ前の未完の無印管。
長さ約545mm、重さ約347g。
【音】
最後の中塗りの朱漆のみが未完ですが、
楽器としての調律や鳴りの調整は
完了しているようで、
音の抜けの良さがすばらしく、
乙のロの音に独特の特色があります。
【歌口】
鼈甲の透明部分を
選び抜いて使用していると思われます！
光にかざすと向こうが透けて見えます。
正面から見て模様のように見えるのは
はめ込み部の竹の部分が透けて見えています。
【割れ止め】
四孔と二孔の上下に、
表面だけのヒビがありますが、
中までは割れておらず、
ガッチリと閉じられています。
【中継ぎの装飾】
糸巻きの上から漆固めです。
中継ぎに緩みやガタなどはなく良好です。
横山先生の息遣いが聞こえてくるような
資料としても素晴らしい楽器です！
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